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nostalgia BHUTAN
昨日読んだ本

”ノスタルジア ブータン”

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GNHーGross National Happiness (国民総幸福量)で
有名になったブータンですが、

この本では、そのブータンを、
建築・景観・町づくりの観点から調査し
ひもとかれています。

何人かの著者が各章を受け持って書いていますので、
重複する内容もままありますが、
全体的に、装丁も品があって、わかりやすく良い本です。


これらの調査、考察から浮き上がってくるのは、
ブータンの人々の、自然の一部としての人間の生、なりわい。

集落の形成される場所、規模、
建築方法やその構造は、
これ以上無いほど自然でいて、
同時に驚くほど理にかなっています。
これは長い年月をかけて
造り上げられた知恵であり技術でもあります。

例えば、三重構造となった民家の建築プラン。

ブータンの家屋は、
下方に比重があり
土壁でどっしりとしていて、
その上の階に伝統的な装飾で見事に飾られた
美しい木組の窓が並び、
さらにその上には
屋根の構造が浮かび上がるように、
ふわりと架かっていてとても美しいのですが、
それは同時に機能的にも、理にかなっているのです。

1階部分は、四方が厚い版築構造の土壁。
密閉された空間は保温性に富み、
家畜の居所となります。
1階に家畜を住まわせることで、
2階の住居部分への保温効果があり、
また住居から出る排泄物や排水の
処理の役割を果たすそうです。

2階部分は、住居。
半分は版築、半分は木の架構。
山側の裏半分を保温性の高い版築とし、
谷側の表半分を木組みにして、
採光や換気のための窓を取ります。
竃の煙は、いったん部屋の中を通過し、
反対側の窓から出て行くことによって
殺生を禁めるこの土地の人々を、虫の害から守っているそうです。

3階部分はふわりと架けられた
密閉制の低い屋根裏で、
乾燥した干し草や薪の保管に最適となります。
干し草を積む事で、下の階へは保温効果があるそうです。



集落のシステムや配置にも、
水の利用や、住居の木材や工材の調達、
土地や植生の利用、排泄物や廃棄物の処理に至るまで、
すべて今日言われているような、
持続可能で再生可能なサイクルが、
自然なかたちで驚くほど実現されていて、
唸ってしまいます。


近代化に伴って変化もありますが、
国としての政策面に於いても、ブータンという国の価値に
ふさわしい選択をしていこうという意志が感じられます。
例えば電力については、豊富な水力エネルギーを活用し、
複雑な地形でも配電負担の少ない、
小規模分散型水力発電方式を取っているそうです。
(なんとインドに電力輸出もしてるそうです)


この本を読んだだけでも、精神的な平和と、
ただ生きている事への幸福感の本質を、
私たちも少し感じる事ができると思いました。


ブータンの人々の、
物質よりも精神性を大切にする価値観や、
輪廻転生という仏教的な世界観が、
大きな基盤となっている感じがします。


私たちが、前へ前へ、とだけ進んできたとしたら、
自分が今居る場所を、ほんとに大事にしたでしょうか。

マニ車のように、世界はぐるぐる回っているのだ、
という世界観であれば、
またいずれ自分が戻ってくる場所に対して、
接し方は違ったでしょうか?

そんなことを、考えました。



興味のある方に、この本はとてもおすすめです。
いまだからこそ、とくに。かもしれません。


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